上十条5丁目交番

アメリカ留学から帰り最初の就職先が警視庁。
警察学校を卒業し配属されたのが東京北区の
王子署、上十条5丁目交番。

環七沿道にある右から2番目の小さな建物が
37年前「上十条5丁目交番」だった。

狭い狭い交番で一階は事務机と小さな流し
和式便所に2階には仮眠用2段ベッド。
この狭い交番を私は「潜水艦」と呼んでいた。
堀田巡査部長に中島巡査長と私の3人勤務。

警察官第一歩としての交番はそれから数年後に
廃止、そして近くにあった馬坂交番も
取り壊され、ネット検索にもチャッピーに
聞いても出てこない幻の存在になってしまった。

もしかしてあれは夢だったのか?と思うほど
今では痕跡がない小さな交番だけど
近くのクリーニング屋のお爺さんに
「昔ここに交番ありましたよね?」と聞くと
「あったよ。でもずいぶん前のことだね」
と懐かしそうに教えてくれた。
若い世代はもう誰もここに潜水艦交番が
あったなんて知らないに違いない。

道中、よく夜勤の交番に出前してもらってた
お蕎麦屋さんがまだあるのを見つけて
嬉しくなった。あれから37年。

交番は無くなったけど、お蕎麦屋さんは
真新しいビルになって残っていた。

思えば遠くに来たもんだ。