お手植え

田植え機で上手く植らなかったところを
腰を曲げて一日中お手植え。

高度に機械化された現代の米農家は
必ず何かの農業機械やエンジン音が
付きまとう。
そんな中、お手植えは数少ない
エンジン音皆無の貴重な静寂な時間。

長靴が泥に沈む音、泥の感触、手植えの
苗の感触、カエルの声、水の流れる音。
贅沢だなぁ。

体は腰を起点に180度折り曲げてるから
ずっと続けていると腰が痛くなる。
30年も前、駆け出しの頃はこの作業を
2週間以上続けていた。信じられない。
ヒーヒー言いながらも
当時は腰を曲げた格好で東京まで歩いて
行けるな!なんて意味不明な自信が付いた。

老いるものだな。。
でもイケイケドンドン順風満帆ばかりが
いいことでもなく、老いないと
感じられない大事なこともたくさんある。

田んぼの中での一人ぼっちのボチラボチラの
お手植えは贅沢な時間だった。