プロの米専業農家にはほとんどなれない

10年ぶりに仕事場のビニールハウスの張り替え。
いろいろお金がかかるなぁ。。

お米作りをしたい人は多い。
時々新規就農の相談を受けることがあるけれど、
新しくプロ米農家になるには現代では
ハードルが高過ぎる。
いや、正直言えばうちのような
「米専業」農家にこれからなるのは
ほとんど無理だと考えてもらって間違いない。

各種農機具や施設、倉庫、肥料に農薬、
栽培知識と経験と売り先、段ボールに米袋、
そして第一にまとまった農地etc。
やる気だけではとても追いつかない。

特に農機具や施設の初期投資には
莫大な金がかかる。
うちは日本一小さな経営の
お米づくりの株式会社だけど、稲作業界では
最低限のこのサイズでも今始めようとすれば
農機具と設備だけでも5000万円ではきかない。
うちは億を超えてる。
よくやってこれたな。。

そこに来て悪いことに
お米の値段は年々下がり続けてる。
お米づくりをいま始めようなんて、
よほど勝算がない限り自殺行為に近い。
いや、素人の勝算なんてハチミツより甘い。

自分達がお米づくりを始めた時代は
ちょうど食糧管理法が廃止される頃だった。
今では不思議に思うけれど28年前には
お米は全部政府食糧庁の管理。
特別な許可がなければ自分で作った米を
自分では売れない時代だった。
(自分で売るとヤミ米と呼ばれ逮捕された時代。
闇米と言う響きも逮捕もナカナカスゴイ)

自分のお米が自由に売れるように解禁されたのと
お米農家になったのはちょうど同じタイミング
だった。ラッキーだったなぁ。

今では誰でも自分のお米を自由に売れるのが
当たり前の時代になって久しいけれど、
今米農家を始めていたら潰れてたと思う。

ただただ自分で「安全なお米を作りたい」と言う
一心で始めた米農家だったけど
それが許される時代に始められてよかった。

残念だけど、お米で新規就農しようと相談に
来る人には、最初はかなり全力で一応反対する。
みんなムッとして帰るけどw

私には、1年間を通してうちでお米の研修を
卒業したお米のお弟子さんが4人、
短期の研修ならもっとたくさんいるけれど、
みんな週末農。
誰一人としてプロ農家にはなっていない。

もしプロ農家になってたら
現実にはみんな潰れてたと思う。
逆に言えば、みんなプロ農家のように
お金に縛られずに、自由に楽しくお米作り
をしている。

正解だと思う。

お米つくり自体で最も大事な
稲やお米が教えてくれる楽しさや気づきは
プロも週末農も全く変わりはない。
胸を張って週末農家になろう。