般若心経に出会ったのは2008年のこと。
40歳を過ぎ、若い時には感じなかったこと、例えば老いや死なんてことも考えるようになってきた時期です。
いけいけドンドンの若さを過ぎ、プライベートや周辺でもこれまでの浅いプラス志向や経験では乗り越えられないことが続けて起きるようになってきてました。
そんな時、いや、気付かなかっただけで実はずいぶん以前から般若心経へは誘(いざな)われていた気がします。警視庁時代のN先輩、お菓子問屋のNさんをはじめ何人もの方とのお付き合いの中で般若心経に出会いました。
これまで他の宗教や哲学書も読んでみたのですがどうもスッキリしません。ピタッと来ないのです。
般若心経に出会って調べていくうちに、今までなんとなく疑問に感じていたことや、不安感、焦燥感がどこからくるものなのか、それらのほぼすべてがこのお経の内容に当てはまるではないですか!目から鱗が落ちるような、それはそれは、驚きの連続でした。
そう、すべての物事は変化し続けていたのだ・・・
短いお経だけにそこには読んだ人のそれぞれの解釈が成り立ちまた許されています。般若心経の言わんとしていることを私なりに独断と偏見で言うのであれば、
どんなことも永遠ではなく日々刻々と変化し続ける。だから、とらわれない方がいい。
どんなことにも良し悪しはない。それを判断しているのは他ならぬ自分である。だから、なるべくならとらわれない方がいい。
どんなものもつながりの中での存在でしかない。
時間も事柄も人も、つながりの中での存在でしかないのだから、あると思えばない、ないと思えば全てある。だから、やっぱりできるだけとらわれない方がいい。
そんな真理に貫かれているのではないかと思います。 (ではなぜ現代の寺は豪華絢爛なのか??葬式で焼け太りしているのか?最もとらわれている世界ではなかろうか)
そう考えると、今までひどくとらわれて憤っていたことや、不安に感じていたことがす~っと軽く感じられます。
般若心経に出会ってから、これはあくまでも私の場合ですが、いろんな意味で軽くなった実感があります。
こだわるな・とらわれるな、ただ目の前のことを噛みしめて楽しんでする。
過去にとらわれ過ぎず、未来を不安視過ぎず、帆を高く揚げる。
そう思えば今日も楽しい一日になりそうです。
誰もが変化の過程の中にいます。
私にとって般若~は宗教というより限りなく哲学に近いのかも知れませんが、沢山の生きるヒントを与えてくれた恩人です。
お米作り・・まさに般若心経を体現しているような世界です。思った通りには決してなりません。それが農業・お米作り、多分人生も。
これまでに般若心経の本は手当たり次第に読んでみました。
著者も人ですから、心経の解釈の仕方が十人十色で本当にいろんな捉え方があり、その解釈は時として感心するほどの差があります。
般若心経だからこそ、とらわれずにそれくらい自由であっていいと思います。
本屋さんでも本当に多くの般若心経の解説本が出ていますが、いわゆるどこかの宗派の有名なお寺の高僧の語りは何故か私の肌には合いません。位もない市井の人の解説は概して面白いと私が感じるのは、その方の生活環境がそう思わせるからでしょうか。
中でも
大丈夫いきていけるよ(へこんだ日の般若心経) 明川哲也 著
PHP研究所 1100円+税
は私の肌に合いました。
題名からはギャップがあって、励ましの内容というよりは262文字の般若心経の経文を丁寧に解いていくという経文解説書に近いものです。
全くの初心者には内容が難しいかもしれません。
しかし他の本にあるような、この経文はこうとらえるべきだとか、こうとらえなさいなどという解説書とは決定的に違い、語り口が非常にやわらかく読者に寄り添うような文章で終始しているのは、とてもうれしく共感が持てます。
著者 明川哲也さんはご存知の方も多いと思いますが、ミュージシャンで「叫ぶ詩人の会」も主宰していました。芸名は ドリアン助川 さんです。大学では東洋哲学を専攻されていたそうです。
この本は経典解説を中心に進行していますので、全く般若心経に触れたことのない方がいきなりこの本を読むと、ひょっとしたら難しく感じるかも知れません。
著者は「最低10回は読んでくれ」と言ってますが、特に最終章は人生の核心に触れるような宝の言葉が著者の気迫と相まって語られています。
この本は般若心経を中心に彼の経験や思いがいっぱい詰まった本ですので、著者の願いの通り、いずれ読者の私も最低10回は読み返してみようと思います。
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