規模拡大の幻想

稲作は効率化され生産コストも下がると
昔から耳にタコのように聞く。
「ほんとにそうなの?」

図は経営面積あたりのお米生産費比較グラフ。
5haくらいまでは確かに生産費が顕著に
下がるが、それ以上の面積となるとどうだろう
生産費はもはや誤差のレベルでしか下がらない。

むしろ農家が大規模と呼ぶ50ha以上の
生産費はなんと逆に上昇し、
5〜10haの経営規模のとほぼ同額。

それだけではない。
大規模化すればするほど管理が行き届かなく
なり単位面接あたりの収穫量は落ちる。
大規模化すればするほど大量のお米は
自分では売れず結局卸業者にまとめて
安く売ることになる。

大規模化は目の玉が飛び出しそうな
大型で高価な農業機械が要り、
生産費は単位面積の生産費はさほど下がらず、
単位面積の収穫量は下がり、
できたお米は大量だけど安値でしか売れない。

もちろん例外の優秀な経営はあるけれど
これが規模拡大のおおよそのシナリオになる。

将来は改善されるのかもしれない。
が、この農水省の統計グラフからは
「規模拡大で効率化すれば稲作経営は
うまくいく」が幻想だ読み取れる。

農水省も政治家も農業評論家もみんな
「規模拡大」しか言わないが、
この統計グラフを知らないのだろうか。

また、不思議なことにほとんどの
稲作経営者自身もこの生産費グラフを
知らないのも不思議でならない。
「規模を拡大すれば楽になる」
みんな呪文のようにそう信じてる。

ちなみに私は就農した当時から
このグラフの存在を知ってた。
幻想を持たずによかったと思う。