破壊

この人はほんといろんなものを破壊してる。

この人は自分たちの農政の失策を棚に上げ
農協や卸業者を悪者に仕立て上げ
「私が米を安くした」とあたかも自分の
手柄のように振る舞う。
マスコミもそう伝える。

「昨年に比べお米の価格は2倍になったのは
異常!」と、この人もマスコミも言う。
いやいや、米農家のお米の売値は
30年前にやっと戻ったに過ぎない。

30年ずっとお米の値段は下がり続けてきた。
肥料も農薬も農機具もガソリンも米袋も
全ての資材が高騰してたのに
お米の値段だけは上がらなかった。

昨年までの5kg2000円が狂った値段だった。
農家は抗議の仕方を知らない。
ただ黙って赤字でも作りつづけてきた。
そんな仕事に若い人が来れるはずがない。
だから米農家の平均年齢は74歳。

そんな農家に何も知らない識者が
「農地を大規模化してコストダウンが必要、
国際競争力を付けて輸出をしろ」と言う。
そんな馬鹿な。
もうめちゃくちゃ。
そんなことはごくごく一部の超大規模法人
にしかできない。
それをマスコミは「ほら、実際やれてる所も
あるじゃないか!」と取り上げる。

政府が備蓄米を市場価格ではなく、精米代も
運送代も税金負担し価格破壊の値段を付けて
「安いぞ安いぞ」と大量に売りに出す。
「わーい、わーい」と長蛇の列。
ほんとうにそんなことしていいのか。
もうめちゃくちゃ。
ただ安ければいいのか。
それが米市場や農協や米卸や農家を
消費者の心を破壊してることに
気づくまともな人はいないのか。

それに飽き足らず、外国のお米も
緊急輸入しますと言う。
「海外のお米でも値段が安くなるなら嬉しい」と言う人がたくさんいる。
ただ安ければいいのか。
そんなことしてその後どんな世の中に
なるのか考えないのか。
どんどん壊していることに気づかないのか。
「元通り5kg2000円に戻ればいいのに!」って
もうめちゃくちゃ。

安さの代わりに破壊したものは今度は
必ず自分たちに戻ってくる。
一時の安さとは比べものにならない
代償を払わされることになる。
「ああ、あの時だったんだな。
なんだか変だなとは薄々感じてたんだけど」と
後になって気付いた時にはもう遅い。

この人はまだまだいろんなことを破壊する。
この人が「安さ」を餌にまだまだどんなことを
破壊していくのかを、ちゃんと見続けようと思う。

目を醒まそう。
安さは正義ではない。
安さの代償は後々とんでもなく高くなって
戻ってくる。