カビと写真と米づくり

自分の手にプロジェクションし
それを写真にする。
その写真を高温多湿の環境に置いてカビ菌を
増殖させたモノをまた写真に撮る。

カビ写真家とも言える青木さんの個展(代々木)

カビも生き物で農業お米作りとも
大いに関連がある。甘酒も米麹菌。
だから写真家青木さんのカビとのお付き合いが
農家である私にはよくわかる。
生きてるということは死ぬと言うこと。
カビはそのどちらも内包してる
いい被写体だと思う。

もう一つの彼の命題が「現実と虚構」
自分の手は現実でそれに投影した
プロジェクションは虚構。
それを撮影した写真もまた虚構。
その写真にカビを増殖させるところは現実で
高温多湿で写真についた水滴も現実。
だけどそれを撮影した写真もまた虚構。

自分たちの生活はどうだろう。
お米づくりは現実だけどそれを写真や
文字で表現しネットに上げたら虚構。
この公開日記もインターネットと電力が
作り出す虚構、だけど、
お米や甘酒が売れると現実。

私達はそんな現実と虚構が入り混じった
ミルフィーユの様な世界に住んでいて。

ネットやSNSのお陰で便利になったけれど
虚構がどんどん現実を侵蝕し続けて
もはや現実がなんだかわからなくなって
きてる。
そしてそれはAI に進化すると言う淡い期待感と
それとは反作用のように鳴り響いてる
自分の中でのアラーム。

彼の作品を見ているといろいろ考えさせられ
正直だんだんと気持ちが重くなってくる。
その気持ちのやっぱりミルフィーユのような
重さこそ彼の意図している表現なのだろうと
思う。

つまり、私は見事に青木さんの術中に
完全にハマったことになる。

こんな経験もあんな経験もぜんぶ
お米づくりに活かしたい。