カニ

仕事場に珍客の沢蟹。

私の実家は岐阜県可児市。
可児を読める人は少ない。
カニと読む。

織田信長のお母さん土田御前は可児出身。
その織田信長を本能寺で殺した
明智光秀も可児出身。
その本能寺で織田信長を最後まで護衛して
死んでいった森蘭丸、坊丸、力丸も
可児出身。

戦国時代に殺し殺された側双方が交差する
可児で育った私は歴史物が好きになった。
石を投げればその辺が古墳だらけ。
夏休みの自由研究はいつも古墳がテーマだった。

高校は県立可児高校。
名古屋のベッドタウン化して都会的
教育ママも多かったのだろう。
県内トップクラスの進学校になることを
目的に作られた新設高校の2期生。
家から近かったばっかりに。。

偏差値一辺倒、他の価値観を一切
認めないような偏狭極まりない新設校で
多感な可能性を随分スポイルされた。

1学年180人のテストの成績の結果は
誰が何の教科で何点取って順位は何番でと
毎回毎回180人全員に分かるよう
プリントして配られトップからビリまで
順位付けされ常に競わされた。
同級生と廊下ですれ違う時は
「あいつは何点で何位、俺は何点で何位」
と自然と値踏みが始まる。

学園祭などあろうはずもなく
代わりに学習発表会ですと。
同級生の成績優秀者による
「私は絶対に東大に行く!」
と叫ぶ講義を聴かされた。
行けばいいじゃん。
巻き込まないでほしい。

そんな毎日、自分史上最悪な時間と高校。
点数や偏差値一辺倒、それだけで毎日
若い命の値踏みをするような
そんな価値観を植え付けるような
教育も教師も消えてなくなった方がいい。
「自分は絶対に教師にはならない!!」
そう心に固く誓った。

お米に食味値と言う点数がある。
その点数の高い方が美味しいお米
なのだそうだ。
「食味値を測って点数アピールをして
もっとお米を売りましょう!」
などとよく誘われるけれど、うちのお米は
誰になんと言われようと絶対に食味値なんか
測って点数化はさせない。
冗談ではない。
米にまで偏差値や点数をつけられて
そんな狭い一つの価値観だけで
優劣を競わされてたまるものか。

今は可児高校も偏差値もグッと下がり
普通の高校になったと聞く。
心からホッとする。
今の若者達には偏狭な価値観に
縛られることなく多感な高校時代を
もっと自由に謳歌してほしい。

「こんなところ来たらフォークリフトに
踏み潰されちゃうよ。早く逃げて。」
仕事場に迷い込んじゃった🦀さん、
元々いた自由な森に帰してあげた。



〜九州にもある可児〜
遠く大分県臼杵市に「可児醤油店」なる
有名老舗がある。
「なんで大分県に可児?」と調べてみると
江戸時代に国替で現在の可児市からお殿様と
商人達がごっそり移住したからだと。
当時可児から国替移住で多くの新技術や
知識や文化が臼杵に伝わったそう。
歴史資料館に行くと可児市と臼杵市の
今に至るまでのつながりを詳しく
教えてくれる。