会場で私だけ握手してもらった

誰が何と言おうと中村哲さんの顔である。

生前の中村哲さんの講演会後、
奇跡的に哲さんがロビーに一人で
ポツンといるではないか。
「チャンスだッ!」
ダダダッと駆け寄り迷わず握手を求めた。

土木作業をしているとは思えないほど
柔らかく優しい手だった。
それに気付いた聴衆が「我も!」と
近づいたけど全員警備に止められてしまい
握手ができたのは会場で私一人だった。

それから僅か数年後アフガニスタンで
彼は凶弾に倒れた。
握手は一生の思い出になってしまった。
最も尊敬する人物。
本当に惜しい人を亡くした。