農民作家山下惣一さん鬼籍に

脱サラして農業を始めた28年前には
インターネットはなかった。
情報源は全て本。

今では一介の農民が誰でも配信できる時代に
なったけれど、当時は宇根豊さん、
赤峰勝人さん、福岡正信さんなど
世の中に発信できる農民作家は
ほんの一握りのカリスマ農民作家達だけだった。

その中のお一人、山下惣一さんが
お亡くなりになった。
政府の農業政策を批判してやまなかった氏の
死亡記事が農業系の新聞では奇しくも
安倍首相のそれと並んでいる。
あの世で安倍首相に噛み付いているに違いない。

山下さんはかつて
農家には代々の農家の跡取りを「正規軍」、
私のような脱サラや1代目の農民を
「ゲリラ」と表現されていた。

山下さんは正規軍だから、正規軍の若者達よ
にわか百姓のゲリラなんかに負けてんじゃない!と言う気概を文章からは強く感じられた。
多分時代と共にその表現も変わって行った
ことだろうけれど。。

正規軍は基盤は盤石だけど、
農家としての歴史が長いから
方向転換や新しい発想が苦手。
ゲリラは基盤はないけど、
元々守るべきものがないから
自由な発想でチャレンジ精神旺盛。

元々は正規軍一辺倒だった農業界も
もはや我らゲリラにその聖域を
随分侵食されてる。
ゲリラ派としてはそれはそれで少し嬉しい。

それでも農業界で現在一番強いのは、
正規軍なのに自由な発想や臨機応変さや
チャレンジ精神を持ち合わせている
正規ハイブリッド進化農家。
そんな強者がごくごく稀にいる。

最先端&広大な土地&資金力&歴史、
そこに自由な発想が加われば鬼に金棒。
そんなもの全てを持ち合わせた正規軍に
たまに出会うと、いつもは忘れているけど、
28年農家してても「自分はゲリラだよなぁ〜」
とつくづく思う。

楠木正成なんて武将は戦い方が
ゲリラそのもので、お父さんから
「お前はゲリラなんだから山の中での戦いには
めっぽう強いけど、山から降りて平野で
正規軍と戦ったら負けるから
ずっと山の中にいろよ」と注意されてた。
ところが、楠木正成、最後は父の予言通り
ほんとに平野に降りて正規軍と湊川で
戦って死んじゃう。

私は大丈夫。
たまに東京に行くことはあっても
普段は山の中も山の中、標高600の山の中に
住んでるし、平野に攻め込む気概もない(笑)

山下惣一さんを思い出すとこうして
いつも楠木正成を思い出してしまう。
ありがとうございました。
山下さんどうぞ安らかに、あっちでも
安倍さんに噛み付き続けてください。
合掌。