不覚

舞踏家 田中泯の映画
「名付けようのない踊り」をもう一度観に。

静かな、ひたすら内面に迫る映画に
一回目に一緒に観に行ったお隣若い
えごま農家夫婦はいたく感動したらしい。

正直に言おう。

私はその静かな映画の展開に実は不覚にも
スヤスヤ100回くらい寝てしまった。
ああいう時の眠りはなんであんなに
気持ちがいいのか。
起きていなきゃ寝ちゃだめだという背徳感が
あんなにも心地よさを
グレードアップさせるのだろうか。

当然ながら観終わった後、
「よかった〜!ビンビン痺れましたね〜!」
と言うえごま農家夫婦の会話には
全くついていけなかった。

二人の話を総合すると
どうやら私はかなり大事な人間の根本に
関わるエッセンスを見逃しているらしい。
当然だ。寝てたのだから。

帰ってから日に日にそれが悔しくなって
今回は「よし!今度は寝ないぞ!」
と心に誓って2回のチャレンジをしに行ったのだ。
映画を観るのにチャレンジと言う
表現が既にヘンチクリンなのだが。

映画は当然ながら相変わらず静かな展開だったが
今度こそ寝るわけにはいかない。
それにしても観るのは2回なのに
初めて観るシーンが多い(泣)
おお!そうだったのか!と言う発見が
いくつもあった。

前回は100回も寝てしまったなんて
なんという勿体無いことをしたのだろう。

お陰様で今回は静かなシーンにも関わらず
寝ることはなかった。
ただ、不覚にも20回くらい目を開けながら
意識を失ってしまっただけだ。。

私にとって「寝る」と「意識を失うと」では
全く別次元の話だ。

誰がなんと言おうと私は寝ていない!
寝てなんかいない!
ただ意識を失っただけだ。
目は開いていた筈だ。
目は開いていたと思う。
多少不覚を取りはしたが、
寝てしまった時間も回数も
前回に比べ遥かに少ないは、、いや!
私は寝てなんかいない!
意識を失っていただけだ。

映画「名付けようのない踊り」は
睡眠なのか意識を失ったのか私にとっては
なんとも「名付けようのない意識のハザマ」
として記憶に残る映画となった。

悔しくてなったらいずれ
またチャレンジすればいい。