嫁入り

数日前から迷い子猫が家の周りに居付いて
四六時中ニャーニャー泣いている。

可哀想だけど餌でもやろうものなら
ますます居付いてしまうのでどれだけ
泣かれても心を鬼にして何もあげなかった。

ところが連日深夜や早朝聞こえてくる鳴き声が
徐々に弱ってきた。自責の念に駆られる。
何せ子猫だ、何も食べないでいるのだろう
随分痩せているのが不憫でならない。

そんな毎日が続いた昨日、
やっと飼いたいと言う人が現れてくれて
ほんの少しだけお世話することができた。
今朝は鳴き声がした早朝に初めて
牛乳と鰹節をあげた。子猫も私も大喜び。

鰹節を少し食べては私の足にゴロンゴロン
スリスリまとわりつく。
牛乳を少し飲んではゴロンゴロンスリスリ
足にまとわりついて
撫でろ撫でろと甘えてくる。

何日もひもじい思いをさせてごめんね。

お昼、家に帰るともうニャーニャーは聞こえない。
子猫は新しい飼い主さんに
連れられてもういなかった。
あれだけ誰にでもスリスリ甘え上手なら
きっとみんなに可愛がられるに違いない。
お腹いっぱいご飯をもらって幸せな
一生を送ってくれることだろう。
よかったね。

久しぶりに姿も声もなくなって
ちょっとさみしくなった。