こんな風に送られたい

島原から福地に帰る日、最後に雲仙普賢岳を撮ると赤い火の玉が・・一瞬ドキッとしたけど太陽の反射ですね。

 

さて、「島原の精霊(しょうろう)流し」をご存じでしょうか?

私もお盆に3回ほど担がせてもらったことがありますが、初めて参加させてもらった時には、腰を抜かすほど驚きました。

島原ではその年に亡くなった方の精霊船を造り、お盆に親類のみんなで家から有明海まで担いで流す独特の風習があります。

こんな見送り方は、日本広しと言えども、ちょっと、ない。

 

その年に亡くなった方の御霊が乗り、親戚衆で海まで担いで行くこの精霊(しょうろう)船、実は大量の藁で出来ていて恐ろしく重い船です。

動画ではスゴク重い精霊船が軽そうに見えますが、それは担ぎ手が軽いトランス状態に入っているからです。

 

家から出発し、海岸に着くまでには何度も休憩します。女性陣は船の後から大量のお酒を運んでついて来てくれます。休憩の度に男衆は女衆に大量のお酒を注いでもらうんですね。「ハ~ハ~」言いながら飲む飲む。

そして「ナマイダ~!」または「ナマイドゥ~!」などと全員で大きく掛け声を揃え、爆竹を派手に打ち鳴らし、船を上下に激しく揺らしながら進んでいくのです。

爆竹とお酒の酔いと船の重さと高揚感で、もう途中からトランス状態になって、ズシリと重いはずの船が段々軽くなっていくのが分かります。

 

海岸まで辿り着く頃にはもう夜です。そこには地域でその年に亡くなられた他の多くの精霊船が煌煌と灯を灯しながら集まって来ます。

拡声器の大音量の読経の中、自分たちの順番が来ると「我が精霊船が一番だ!」ばかりに「回せ回せ!もっと回せ!まだまだ回せ!」とグルグルと回転させ「上げろ上げろ!もっと高く上げろ!」と叫びながら「ゼ~ゼ~、もうこれ以上回れない!揚げられない!」体力の限界まで派手に練り(正気ならあんなに回したり上げたりできない)そのまま海に向かって進み、担ぎ手はバシャバシャと海に突入。

 

驚くべきことに、更に、みんなで泳いで船を沖の方へ運んで行きます。

出来るだけ遠く沖合まで泳いで船を引っ張って、最後は真っ暗な海に船を放して「ば~ちゃ~ん!さようなら~!!」と大声である者は泣きながら、立ち泳ぎしながら御霊の乗った船を見送るのです。

(最近は沖の警戒船が「危ないから、泳がないで戻れ、コラ!」と注意するので、あまり遠くまで泳いで行けなくなった)

 

気付けば真っ暗な海のそれも結構遠くまで泳いできてます。

トランス状態がちょっと解けて「おお、怖い、海岸が遠い・・」 

真っ暗な海から海岸に泳いで帰ると、達成感と正気に戻ったせいか、それまでの疲れがドッと出て、もうフラフラ・・

それを親類の女衆が「よくやったね~!見事な船でした!」と泣きながら拍手で男衆達を迎えます。

その後ズブ濡れのまま家に帰って、また全員で徹底的に打ち上げ。

 

こんな御霊の送り方、送られ方、島原の人達は「幸せだなぁ~」と思います。

う~ん、、、「島原の精霊流し」文章じゃよく伝わりませんね。 

こんな感じです→動画http://www.youtube.com/watch?v=UyRhfo5ZvmU

(注:島原の精霊流しは、長崎市内のとは違い観光化されてません)