あけましておめでとうございます

あけましておめでとうございます。

もう20年も新年は長崎島原で迎えてます。(笑)

 

年末年始島原巡礼の旅。強烈な磁気を放ち東西南北、上下左右、来る者をあまねく酔わせ笑わせる名店中の迷店。一番霊場は、押しも押されぬ鉄板焼「こばち」

開店時間は店主の機嫌次第で午後10時~午前1時頃といったところか。ただし店主、開店時には既にかなり飲んでいることは間違いない。

 

暖簾を潜ると「お~岐阜の百姓山ちゃん、今年もよ~来らしたね~」とフラフラしながら真っ赤な顔でお出迎え。コチラは7人の酔っ払い。

正月早々開店時から酔ってる店主にやる気はまるでない。

メニューのなかでハンバーグが一番手間がかかる。随分前に「ハンバーグお願いします」と注文すると一瞬顔をしかめるのを知ってから、必ずハンバーグを頼むようにしている。

 

今回も「7人全員ハンバーグお願い」「エッ、全員ハンバーグ?」面倒臭そうな顔にみんなで大笑い。確かに店主一人でハンバーグを一気に7つ焼くのはかなりの重労働。

店主も負けずに「7人だったら一つでよかとでしょ!」と勝手に言い張ってハンバーグ7つのところを一つしか作らない。オイオイ。

正月早々開店時から酔ってる店主にやる気はまるでない。

 

酔っ払いの店主がフラフラそれでもなんとか頑張って作ってる最中、仲間が意地悪に「じゃ、焼きそばも4つお願い」と言う。「もうやめてくれ、帰ってくれ~」と泣き顔。

更に畳み掛けるように「それじゃぁ、お好み焼きを3つ!」と言うと、困り切った顔をして「今日は正月で孫が来ているから嫌だ、作らん」とノタマウ。「それでも商売か!」大笑い。

「じゃぁ、正月なんだからハンバーグに卵を3つ余計に入れろ!」「いやじゃ」大笑い「正月で目出度いんだから、ビールを何本かサービスしろ」「お前らなんてこと言うんだ、帰ってくれ!」ゲラゲラ

「さっき冷蔵庫にしまった挽肉はどうなってるんだ、それもまとめて焼いてしまえ」「お前ら、人の冷蔵庫まで見るな」ヤイノヤイノ冗談の応酬。

 

かと思えば「大将もビール飲むか?」と差し出せば「絶対にもらう!」とグビグビ。それ見て「よし、飲んだビール瓶は会計されないように座席下に全部隠しちゃえ」「お前らなんちゅうことを!」と見れば手には安物おもちゃのけん銃(爆)

 

やっと出来上がった大きなハンバーグを7等分してもらう間も、やれ「こっちの方がデカイ、小さい」とキャンキャン言って食べ始めたかと思うと口々に「うまい!でも、お腹が余計に空いた、焼きそばをもう4つ!」「かぁ~、今日は勘弁してくれっ、お願いだからもう帰ってくれ~」

正月早々開店時から酔ってる店主にやる気はまるでない。

午前5時半、もうすぐ初日の出が上がる。

 

と、書いてみたものの、店主の言葉がコテコテノ島原弁。地元の人でも理解が難しく、まして私の様なよそ者には何を言っているのか3分の1も分からない。この店の凄いところは、店主がニュアンスだけであれ程人々をゲラゲラ笑わせ、フラフラに酔ってるのに作るものはウマく、口惜しいことに(ビール瓶を隠しても)お会計は間違えないところにある。

強烈である。今年も楽しい一年になりそうだ。

 

島原一番霊場・鉄板焼き「こばち」元旦巡礼完了