キャタピラー

上映中の若松孝二監督映画「キャタピラー」。出征軍人が中国戦線で四肢を全て失い、耳も聞こえず言葉も出ない酷い状態で傷痍軍人として村に帰って来ます。村では表面上彼を「軍神」として崇めます。こんな姿になってただの一瞬も光の差し込む瞬間もなくなった夫を疎ましく、支え、支配し、優しく、卑しむ妻役に女優・寺島しのぶ。

四肢を失った彼はもはや生きる肉の塊、性欲と食欲だけが際立ちます。そんな彼も中国では婦女子を凌辱殺害していて良心の呵責で徐々に心まで病むことになります。被害者であると同時に加害者。

「お国のために」「壮烈なる」「勇猛果敢」「天皇の赤子」そして「軍神」。これらの言葉が何度も何度も出てきますが、彼の四肢のない・一生何もできない姿と対比して何と滑稽で薄っぺらい誤魔化しかよく分ります。そして敗戦。

この映画何度も観ることをためらいましたが、思い直して観て来ました。

コメントをお書きください

コメント: 2
  • #1

    山小屋マスター (火曜日, 24 8月 2010 21:25)

    キャタピラーは岐阜県ではやってないけど
    どこで観てきたの?

  • #2

    山ちゃん (水曜日, 25 8月 2010 12:11)

    山小屋マスターさんありがとうございます。
    キャタピラーは名古屋駅西口徒歩3分シネマスコーレという映画館で観てきました。小さな映画館で、連日特に午前中は満員御礼とのことです。この映画館面白いマイナーな映画が多いです。確か支配人かオーナーはこの映画の監督若松氏だったと記憶しています。