女人禁制で男になる儀式

立山は女人禁制の山岳信仰。
女は生まれながらに地獄に落ちると
信じられてた。
女人禁制にも関わらず、女が救いを求めて
立山に登るとたちまち杉や石に姿を変えられて
しまった。

立山の麓に布橋。
橋のこちらは現世、あちらはあの世。

かつて年に一回、女人が目隠しをして
閻魔堂(現世)から布橋を渡り切り、
姥堂(あの世)で祈りを捧げると
生まれ変われる儀式があった。

布橋を渡るのは、一度あの世に行くと言う
意味だから女人は全員白装束(死装束)で渡る。

目隠しをしたまま橋を渡り、真っ暗な姥堂で
ひたすらお経を読む。
祈りが終わると姥堂正面の戸が一斉に開かれ、
目隠しを取った久々の明るい世界、
すぐそこに立山連峰が広がっている。
「私は生まれ変わった!!」と思わせるに
十分な演出効果だった。

一連の儀式を経て、お寺から女人は男に
生まれ変わったと言う証明書を授与される。
男になった女人はもう地獄に落ちることはない。

男女の解釈からして、今ではあり得ない
この儀式は「布橋灌頂会」
(ぬのばしかんじょうえ)と言う。