誰が何をどう守るというのか

一日も忘れたことがない。

放射能測定をする農民は原発事故直後でも驚く程少数だった。

今では放射能測定する農民は全体から見ればほぼ皆無と言っていい。


北朝鮮が撃てもしないミサイルを今日か明日か飛んでくるかのように「危ない!日本を守れ!」と騒いでいたのはついこの前のこと。


尖閣諸島に中国が今にも上陸して来る「危ない!日本を守れ!」と言っていたのもついこの前のこと。


イスラム国に日本人が殺された「危ない!日本を守れ!」と言っていたのは先日のこと。


国民はいとも簡単に煽られいつの間にか「テロがやってくる!危ない!」ってイスラムの人と話をしたことがある人はごくわずか、全ては一方的な情報とイメージに塗り固められ。


本当に日本を守ってくれると言うなら、どうか出血を止めてくれ。

どうかどうか、もう包丁を振り回すのはやめにしてくれ。


地図を見よう。放射能汚染の地図。


飛んでも来ない北朝鮮のミサイルは本当に脅威なのか、上陸もしてこない尖閣諸島は本当に驚異なのか、見たこともないイスラム国が本当に脅威なのか・・本当に「危ない!やばい!」ことは、ほらほらどこ見てるの?自分たちの足元にある。


地図を見よう。

東北が真っ赤になっている。これは可能性があるかもしれない危険性ではない。

毎日毎日足元から現実に起きている被爆の本物の危険なのに。


北朝鮮、イスラム国、中国から「日本を守る!!」と政権は言うけれど。

転んで自分が振り回していた包丁が胸に突き刺さってダバダバと血を流している人。

その人が、道の反対側を歩いている人を見て「あの人は目つきが悪いからもしかしたら私を刺しに来るかも知れない。危険だ!」と叫ぶのに似ている。


「あの~、胸から血がダバダバと流れてますけれど、大丈夫ですか!!??通りの向こうの人より、よ~く自分の胸の怪我を見て出血を止めないと死んじゃいますよ?」


「だって、みんなが通りの向こうの人はとても凶暴でが襲ってくるというんですもの、私怖くて怖くて。」


「あの通りの向こうの人ってよく知っている人なんですか?本当に凶暴な人なんですか?」


「いえ、実はよく知らない人。でもね、みんなが言ってるし用心に越したことはないわ。ほらあの目つき。テレビもみんなも偉い人もみんな言ってるわ」


「あの~もう一度言いますけど、そんなことより胸に刺さった包丁を何とかした方がいいと思いますけれど。。。」


「とにかく警察呼んで!通りの向こうの人がまた私のことを見て叫んでる!」


「聞こえないんですか?彼はさっきからあなたの大量の出血を見て通りの向こうから「大丈夫ですか~!救急車よびましょうか~!」と叫んでくれているんですよ。」


「いえ、私には「これからそっちに行ってお前を刺してやる~」に聞こえます。」


「あなた、それは出血多量でもう意識が朦朧としているからなんじゃないですか?」


「なんてことを!私は正常ですよ。そりゃぁ胸に何か刺さっていてちょっと痛い気もしますけど、私は正常で大丈夫。んん、ひょっとして、あ、あ、あなたも通りの向こうの人と仲間なのね。」


「なんということを!私はただあなたの胸から大量の血が流れているのを見て心配になって声をかけてるだけじゃないですか!」


「余計なことしないで!例え私の胸に包丁が刺さっていようと、大量に血が流れていても見なければ聞かなければそんなこと忘れてしまえるわ。」


「だって、その血の量は・・・」


「大丈夫、たしか偉い人が言ってたわ「ただちに命への影響はない」って。」


「とにかく救急車呼びましょう!」

「しつこいわね、あなた、これ以上余計なことするなら本当に警察よぶわよ!」


もう一度放射能汚染の地図を見てみよう。

見える。

僕には確かに彼女が胸から大量の出血をしているように・・見える・・。