資本主義の視点

おもしろかった。
お米作り奮闘記というよりは
資本主義へのアンチテーゼか。

バケモノみたいに大きな資本主義に
ほんのちっちゃな穴を開ける。
確かにこの程度の穴なら誰でも開けられる。

「今の仕事辞めたらお前飢え死にするぞ!」
と常に資本主義は脅迫してくる。
「飢え死には嫌だ!」とやり甲斐もなく
単に製造の歯車としてがんばる。
「飢え死にしない!」と自信があればみんな
とっととつまんない会社なんか辞めちゃう。

すると安くていいなりになる労働者が
集められなくなっちゃう。
だからあらゆる方向から会社辞めたら
「お前、つまなくても我慢しないと
飢え死にするぞ!」
とずっと何重にも脅迫してくる。

世の中の競争原理もよくわかる。
実力がなければ経営できない、つぶれる、
市場から強制退場しなければならない。
だが、その弱肉強食論を人に不可欠な
農業生産にまで適用させていいものだろうか。
他の業種なら通用することも、
食糧生産者を淘汰させることは自分たち
自身の首も締める。

改めていろんなことを考えさせられた。
素人の米作りという浅さを餌にして
著者に見事に釣られた魚のような気分。
いい本だった。